■ 唐揚げ1個の給食に見えたもの
「主菜が唐揚げ1個だけだった」という学校給食がSNSで話題となり、多くの批判を受けました。「少なすぎる」「育ち盛りには足りない」といった声が相次ぎ、教育委員会も改善を検討する事態となりました。
この問題の背景には、物価高騰や人件費の上昇がありながら、給食費が据え置かれている現実があります。保護者の負担が限界に達している中で、給食の質と量をどう維持・向上させるかという課題が浮かび上がっています。
—
■ 保護者負担を増やすべきという考え方
この立場では、「もう少しなら払える家庭があるのなら、量や質を改善するための費用に充てるべき」という考え方をとります。
たとえば、月に500円〜1,000円の値上げであれば、負担可能だと感じる家庭も少なくありません。現在の小中学校の給食費(全国平均)は以下の通りです:
小学校:約4,400円/月
中学校:約5,000円/月
(※文部科学省 令和3年度調査)
仮に月500円の値上げをすれば、1人あたり年間6,000円の増収となります。100人の児童・生徒がいれば年間60万円の増収。これにより、より質の良い食材やボリュームアップが実現できる可能性があります。
また、「寄付型給食支援」や「地域ぐるみで給食を応援する仕組み(例:保護者会による食育活動費の支援)」など、保護者が積極的に関与する方法もあります。
—
■ とはいえ…課題もあります
もちろん、「払いたくても払えない家庭」があることも忘れてはなりません。特に、就学援助の対象にはならないギリギリの層が最も影響を受けやすくなります。
また、「給食費未納問題」も現実的な障壁です。文部科学省の調査(令和元年度)によると、全国で給食費未納の件数は約15万人にのぼり、その理由の約半数は「経済的困難」ですが、残りの半数は「保護者の理解不足」や「払えるのに払わない」という事例でした。
保護者負担を増やす方向で制度を動かす場合は、未納対策や公平性の担保もセットで考えなければなりません。
—
■ 結論
保護者負担の増額は、現場の給食の質と量を改善する一つの現実的な選択肢です。ですが、その際は「払える人」だけでなく、「払えない人」や「支援から漏れてしまう人」への配慮と支援の拡充が不可欠です。
「少しの余裕がある人が、少し多く出すことで、全体が豊かになる」そんな仕組みが構築できれば、唐揚げ1個問題のようなケースは減らせるのかもしれません。
—
#給食の質向上 #保護者負担 #スライド式給食費 #中間層の支援 #教育と食育 #格差是正
【対立する視点シリーズ①】
「唐揚げ1個」問題から見る、給食を豊かにするためにどうすべきか?
―保護者負担を増やすべきという立場から考える―
