【対立する視点シリーズ②】合理的区別ではないか?とする立場から考える

一方で、現場の実情に目を向けると、ただの「差別」と片づけられない事情も確かに存在します。この回では、「合理的な区別として一定の理解が必要では?」という視点から詳しく考えます。

■ 男性保育士への不安

現実に、過去には男性保育士による性犯罪事件がいくつも報道されてきました(※2)。特に乳幼児へのわいせつ行為が、数年後に被害として明るみに出るケースもあり、保護者の間には根強い不安があります。

また、実際の保育現場では、男性保育士が女児のおむつ替えや着替えを担当することに難色を示す保護者も一定数います。現場で説明を尽くしても「やっぱり嫌だ」という声が上がれば、クレーム対応や配置転換などで負担が大きくなります。

採用段階でそのリスクを避けようとする動きが出るのは、残念ながら現実的な対応とも言えます。「男性だから不採用」ではなく、「今のクラスや保護者対応が難しい」という判断の延長にあることも少なくありません。

■ 妊婦の求職者に対する実務的懸念

保育の仕事は、体力と反射神経が求められる場面が多い仕事です。特に妊娠後期になると、重い荷物の持ち運び、突然の走り出し、外遊びの引率などが難しくなることがあります。

採用直後に産休・育休に入ることが確実なケースでは、戦力として計算が立ちにくく、現場の人員配置に穴が空いてしまうこともあります。「妊婦だから不採用」ではなく、「今このタイミングで補充が必要な戦力ではない」という判断も、完全に否定するのは難しい側面があります。

■ まとめ

現場が抱える人手不足、保護者からの期待・クレーム対応、突然の人員欠員。こうした背景がある中で、「採用時点で即戦力にならない人を避けたい」という気持ちは、現場の悲鳴のようにも聞こえます。

合理性の名のもとに不採用を正当化することには慎重であるべきですが、「すぐに働ける人を採りたい」という判断自体が、すべて悪だとも言い切れません。ここには、現場と制度の“板挟み”が見え隠れしています。

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