■ 給食は教育の一環
学校給食は、単なる「昼ごはん」ではなく、「教育の一部」と位置づけられています。文部科学省の『学校給食法』でも、「学校給食は児童生徒の心身の健全な発達を目的とする」と明記されています。
つまり、「給食が貧しい=教育が貧しい」という図式になってしまいかねません。
この観点からは、「すべての子どもに、平等で栄養価の高い食事を保障するために、国や自治体がしっかりと公費で支えるべき」という主張が出てきます。
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■ 無償化の流れと成功例
すでに全国の自治体で、給食費を公費で無償化する動きが広がっています。
東京都・葛飾区・北区・千代田区など:完全無償化
大阪府・高槻市:中学生も対象に無償化
北海道・岩見沢市:物価高騰に伴い緊急的に一部無償補助
2023年時点で、小中学校の給食を完全無償化している自治体は全国で少なくとも130以上に達しています(朝日新聞・共同通信調査)。
これにより、「払えない/踏み倒す」といった問題が減少し、学校現場の事務負担(未納者への連絡等)も軽減されました。さらに、家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもが平等に食を享受できるという「教育的公平性」が実現します。
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■ 財源はどこから?
もちろん、「公費」と言っても財源が必要です。1人あたりの給食費を年間約5万円とすると、1000人の小中学生がいる自治体では年間5,000万円が必要になります。
ここでカギになるのは、自治体の優先順位と国の支援です。
たとえば、自治体によっては「観光施設への投資」「イベント予算」が潤沢な一方で、教育福祉への支出が抑えられているケースも見られます。
また、「給食無償化は国の責任では?」という声もあり、全国一律で給食を無償化するには、国の政策的決断と予算措置が求められます。
近年では、教育費の無償化に向けた流れ(幼児教育・高等教育の無償化など)が進んでいることもあり、「給食も含めるべきだ」という主張も根強くあります。
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■ 公費投入の価値
給食は、貧困対策・健康格差対策・食育・地域農業支援(地産地消)と多面的な意義を持ちます。
それらを総合的に支えることができるのが、「税金を用いた全体支援」です。
また、保護者負担をなくすことで、出生率の向上や子育て支援の一環としても期待されます。
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■ 結論
「子どもたちの食」は、家庭任せにすべきではなく、社会全体で支えるべき公共財と考えるのがこの立場です。
短期的にはコストがかかりますが、長期的には子どもの健康・教育水準の向上、将来の医療費抑制にもつながる「未来への投資」といえるでしょう。
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【対立する視点シリーズ②】
給食を豊かにするためにどうすべきか?
―公費負担を増やすべきという立場から考える―
