【コラム】子育て支援が“虚構支援”になりがちな理由と、そこからの脱却

子育て支援は「国の未来を支える大事な政策」だと、どの政権も口をそろえて言います。ですが、現実には「やっている感」だけが目立ち、現場の家庭には届かない。こうした“虚構支援”がなぜ繰り返されるのか、理由を整理してみました。

1. 継続性への不信:「どうせ次の政権で終わるのでは?」

子育ては短期決戦ではありません。保育、教育、就労支援といった一連の政策は、十年、二十年というスパンで続いてこそ意味があります。ところが、政権が代わるたびに制度や方針が変わり、支援が続くかどうか分からない。
そのため、国民は「今だけの目くらましでは?」と疑い、支援を“人生の前提”として組み込むことができません。

2. 長期的な成果が票にならない

子育て支援の成果が表れるのは十数年後です。その頃には、今の高齢の政治家は引退しているかもしれません。つまり「自分の実績」として評価されにくいため、モチベーションが低くなりがちです。
政治家にとって重要なのは、次の選挙で成果としてアピールできる施策。その結果、長期的な支援策より、短期で成果が出る政策ばかりが優先されます。

3. 子育て世代は票になりにくい

もう一つの大きな要因は、有権者構成の偏りです。日本では高齢者の投票率が高く、若い世代や子育て世代は投票率が低めです。政治家は「必ず投票してくれる層」に向けて政策を打ちがちなので、どうしても子育て支援は後回しになります。
さらに「子育ては家庭の責任」という保守的な価値観も根強く、公的支援に対して冷ややかな目が向けられることもあります。



では、どうすれば変えられるのでしょうか?

1. 子育て政策を“社会の基盤”と位置づける

防衛や経済政策と同じレベルで、子育てを国家の持続可能性の柱と位置づける必要があります。政治家の自己アピールや政権の人気取りではなく、「国家戦略」として継続性をもたせることが重要です。

2. 独立した機関や法律で支援の安定性を担保する

一過性のキャンペーンではなく、法制度や財源の裏付けをもった「子育て基本法」のような枠組みが必要です。政権が変わっても支援がぶれないよう、教育予算や保育支援費をGDP比で一定に保つといった制度設計が求められます。

3. 子育て世代が声を上げる、選挙で意思表示する

最後に欠かせないのは、私たち一人ひとりの行動です。どれだけ子育て支援を求めても、投票という形で意思表示がなければ、政治には伝わりません。
「子育ては政治と無関係ではない」という意識を共有し、声を上げ、投票に行くこと。それが制度を変える一歩になります。




「子どもは社会の宝」と言われますが、その言葉が本当になるためには、現場と政治の間の断絶を埋めていく必要があります。一時的な支援ではなく、安心して子育てできる社会を、持続的に築いていけるか。その鍵は、私たちの声と行動にかかっています。




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