私個人としては反対寄りの立場ですが、ここではより客観的にまとめてみます。
たしかに一夫多妻制の導入には、合理性や自由の追求という面があります。
努力が報われるべき、という主張も理解できます。
しかし、現実の社会制度として導入した場合に、
・弱者男性の救済にはほとんどつながらない
・女性の選択肢が事実上制限される可能性がある
・子どものケアや社会的分断といった副作用が大きい
といった構造的な問題が生じるおそれがあります。
また、「配偶者を持てない人が多数出る」問題の根本は、婚姻制度のあり方だけでなく、
・経済の停滞
・社会的孤立
・育児・教育のコストと支援不足
など多方面にあることを無視することはできません。
一夫多妻制が“強者のための制度”に終わらない保証はありません。
むしろ、家族の多様性を認める選択肢(事実婚、共同親権、同性パートナーシップなど)を拡充するほうが、現実的な選択肢の広がりに寄与すると考えます。
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参考文献・資料
トッド, エマニュエル.『家族システムの起源』藤原書店, 2022年
Goody, Jack. The Development of the Family and Marriage in Europe. Cambridge University Press, 1983
内閣府『男女共同参画白書』(平成25年度)
UNESCO『Gender Equality and Culture』2014年レポート
厚生労働省「出生動向基本調査(夫婦調査)2021年版」
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【対立する視点シリーズ③】総括:制度にするには副作用が大きすぎる
