【ニュース/コラム】少子化は社会が大人に優しくないことが原因──負のループから抜け出すために

2024年の日本の出生数が初めて70万人を下回り、68.6万人となりました。また、合計特殊出生率も過去最低の1.15となり、少子化の深刻さが改めて浮き彫りになっています(出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN, 2025年6月)。

この数字を単なる統計として眺めるだけでなく、「なぜここまで少子化が進んでしまったのか」を社会の構造的な視点から考えてみたいと思います。



■少子化の本質は「社会が大人に優しくない」こと

少子化の根底には、子どもを産み育てにくい社会環境があります。つまり「社会が大人に優しくない」ことが、大人たちに子どもを産む・育てる余裕を奪っているのです。

近年、成果主義の拡大や非正規雇用の増加により、雇用の安定性は大きく揺らぎました。同じ仕事をしていても人件費が削減され、企業は利益を上げる一方で労働者への還元は十分とは言えません。国も非正規雇用を「自己責任」として切り捨てる姿勢をとることが多く、社会保障の手厚さは不足しています。

この結果、将来設計が描きにくい状況が増え、子どもを持つことを諦める人が増えています。経済的不安や社会的孤立感が、少子化の大きな要因となっているのです。




■不本意子無しの増加がもたらす負のループ

さらに問題なのは、不本意子無しとなった人たちが社会への関心や責任感を失い、社会全体の連帯感が弱まってしまうことです。自分が末代であることの孤独感から、「未来の社会を良くしよう」という意欲が薄れ、子育て世代への理解や支援も得にくくなります。

その結果、子持ちと子なしの間に分断が生まれ、互いに孤立しやすくなってしまいます。この分断は、子育て支援の後退や社会全体の縮小を招き、少子化をさらに加速させるという負のスパイラルに陥ってしまうのです。




■負のループを断ち切るには

この悪循環を断ち切るためには、まず不本意子無しの人たちの声に社会が真摯に耳を傾けることが重要です。子育て世代も含め、誰もが未来に希望を持てる社会環境をつくる必要があります。

また、子持ち・子なし間の偏見や分断を乗り越え、互いに尊重し合える共感の輪を広げることが求められます。企業や国の政策も、雇用の安定化や育児支援の充実、そして包摂的なコミュニティづくりを目指すべきでしょう。




■おわりに

少子化問題は単なる人口の数字の話ではなく、社会のあり方そのものを問う深刻な課題です。子どもを産み育てやすい社会をつくるために、私たち一人ひとりがこの課題に目を向け、行動していくことが求められています。




【出典】
・TBS NEWS DIG Powered by JNN「2024年の出生数は68.6万人 初めて70万人下回る 合計特殊出生率は「1.15」で過去最低更新」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f109b042ddc1c3bfeae252696739eb506539404




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