【コラム】産休に入るのが遅すぎる社会で、私たちは何を我慢させられているのか

妊娠がわかったとき、あなたはどんな体調でしたか?
私の場合、嬉しさと同時に、つわりやめまい、眠気、全身のだるさに襲われて、仕事どころではありませんでした。なのに、制度上はまだ「産休ではないから働いてね」と言われるのです。

日本の産前休暇は、出産予定日の6週間前(多胎妊娠なら14週間前)からと決まっています。
でも、それって遅すぎるのではないでしょうか。

妊娠初期から体調は大きく変わっていきます。吐き気や体調不良を我慢して満員電車に揺られ、気を遣いながら職場で働く。無理をして倒れそうになっても、「制度的にまだ産休じゃないから」と耐え続けなければならない。

これは本当に「当たり前」のことなのでしょうか?

■妊娠が分かった時点で産休に入れたっていいはずです

妊娠したら、本人の希望に応じてすぐに休める制度があっても良いと思うのです。
妊娠初期こそ、つわりなどで体調を崩しやすく、不安定な時期です。にもかかわらず、現在の制度は「お腹が目立ち始めてからようやく妊婦として配慮される」ような設計になっています。

妊娠は見た目では判断できません。外から見えない苦しさを、無かったことにしてしまうような制度のままで、本当にいいのでしょうか?

■男性が妊娠できるようになったら、即制度が変わるのでは?

たとえば、もしも将来の技術で男性が妊娠できるようになったら、社会の反応はどうなるでしょうか。
「妊娠が分かったらすぐに仕事は免除されるべきだ」
「休職中も十分な手当を出すべきだ」
そんな議論がすぐに起きる気がしませんか?

つまり、「男性も困ることになって初めて制度が真剣に見直される」。
裏を返せば、「女性だけが困っている問題は、いつまでも後回しにされがち」なのです。

■無痛分娩が贅沢品扱いされているのも、同じ構造です

たとえば、無痛分娩。日本ではまだ普及率が低く、費用は数万~十数万円。保険も適用されません。
出産という命がけの行為に対して、「痛みに耐えた人こそ母として立派」とするような空気が残っているように感じます。

「麻酔科医が足りないから仕方ない」と言われますが、歯の治療で麻酔をするときに「麻酔科医がいないから今日は無麻酔で」と言われたら、誰もが不安になりますよね。
なぜ出産にだけ、それが許されてしまうのでしょうか?

本音を言えば、「もし男性が出産する立場だったら、無痛分娩は保険適用が当たり前になっていたのでは」とすら思います。

■「女性しか困っていない問題」は、なぜいつも我慢を強いられるのか

働きながら妊娠を継続すること、つわりに耐えながら働き続けること、出産の痛みに耐えること――。
これらは、すべて「女性だけが困ること」として片づけられ、我慢を強いられてきました。

でも、私たちはもう、その「がんばって当たり前」の空気に、声を上げていいのではないでしょうか。
妊娠・出産にともなう困難を「自己責任」ではなく、「社会の責任」として見直す時期に来ていると思います。

妊娠がわかった時点で本人の意思で休めるようにすること。
無痛分娩を保険適用にすること。
出産前後のケアを手厚くし、「子どもを産もう」と思える社会に変えていくこと。

それは甘えではなく、未来への投資です。



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