【コラム】成果主義社会がもたらす少子化の落とし穴
〜タイパ・コスパと子育ての相性の悪さとは〜

■成果主義が当たり前になった社会

近年の日本社会では、「成果主義」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」「コスパ(コストパフォーマンス)」という言葉が当たり前のように使われています。
なるべく早く、なるべく無駄を省き、効率よく成果を出す──そんな価値観が社会のあらゆる場面に広がっています。

でも、私はどうしても思ってしまうのです。
「成果主義だから少子化が進んだんじゃないか」と。



■子育ては“非効率”の連続

成果主義に慣れてしまった人たちは、効率の悪いものを嫌うようになります。
時間がかかるもの、すぐに成果が見えないもの、思い通りに進まないもの──それはすべて“非効率”で“ストレスの元”に映ります。

しかし、子育てという営みは、まさにその“非効率”の塊です。
子どもは思い通りに動いてくれません。成長には時間がかかります。
すぐに成果が出るわけではありませんし、時にはタイパやコスパを捨ててでも、子どもの感情や発達に寄り添う時間が必要です。




■「効率脳」が家庭に及ぼす影響

たとえば、子どもが朝靴を履くのに手間取っているとき。
時間がないからと親がすぐに履かせてしまえば、それは“効率的”かもしれません。
でもそれでは、自分でやろうとする気持ちや、自立する力は育ちません。

タイパ・コスパに慣れた大人が、同じ感覚を家庭に持ち込むと…

「子育てってめんどくさい」

「話が通じない子どもに付き合うのがしんどい」

「無駄ばかり。こんなのやってられない」


──そんなふうに感じてしまうこともあるのではないでしょうか。




■「子どもを持たない方がコスパがいい」?

そしてそれが、「子どもを持たない」という選択につながっていく。
「子どもがいたらキャリアが犠牲になる」
「育児は時間もお金もかかる。リターンが少ない」
そう考える人が増えても、不思議ではありません。




■効率では測れない価値を思い出す

成果主義や効率化には、もちろん良い面もあります。
でも、「人を育てる」という営みは、それとは相性が悪い。
もっといえば、「人と人との関係性」そのものが、効率とは無縁な部分を多く含んでいます。

少子化を語るとき、経済的な理由や保育環境の問題だけでなく、
私たちの内面に根付いてしまった「タイパ・コスパ至上主義」の視点も見直す必要があるのではないでしょうか。

効率で測れないものの価値を、改めて思い出すこと。
それが、子育てを「負担」から「希望」に変える第一歩になるかもしれません。

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