【コラム】「仕事してるから家事育児してるのと同義とみなすべき」は本当に成立するの?

時折、こんな意見を聞きます。
「家事育児にはお金が必要なんだから、外で働いてお金を稼ぐことも家事育児の一環なんだ」
「だから、仕事している俺は家事育児してるってことになる」

一見もっともらしく聞こえますが、本当にそうでしょうか?

確かに、家事育児にはお金がかかります。衣食住、教育費、医療費、おむつ代から絵本まで、お金がなければ回りません。だから外で稼ぐことも、家庭を支える重要な貢献の一つです。それは間違いありません。

ですが、それを理由に「だから家事育児は実質やらなくていい」と結論づけるのは、明らかに飛躍です。

なぜ「仕事(=労働)してるんだから俺は家事育児やってる」になるのでしょうか? その論理なら、妻が家でやっている家事や育児もまた、労働であり仕事の一環と見なされるべきですよね。

では、ここで労働として比較してみましょう。

夫の「仕事」は、基本的には1日8時間+通勤時間。
それに対し、妻の「家事育児」はどうでしょうか?

朝ごはんの準備に始まり、保育園の支度、送迎、買い物、洗濯、掃除、食事の支度、片付け、寝かしつけ、そして夜中の授乳や夜泣き対応……。それは「いつ何が起きても即時対応が求められる24時間待機」のようなものです。

労働の理屈で言うと、これは「宿直・待機時間」としてカウントされるべき働き方。実働時間以外も含めて拘束されています。
つまり、妻は事実上24時間労働しているわけです。

さらに言えば、女性は妊娠・出産によってキャリアが中断されたり、体への負担を強いられることが多々あります。妊娠出産はまぎれもない命がけのプロセスであり、しかも女性だけが担うものです。妊娠や出産でキャリアを止めざるを得なかった女性と、何も中断されず働き続けられる男性の間に「収入差」が生じるのはある意味当然です。

それなのに「俺の方が稼いでるんだから、俺の方が貢献してる」と言われても、それはとてもフェアとは言えません。

また、家庭内の役割分担を「仕事 vs 家事」で分けたとしても、なぜか子どもが生まれた瞬間から「育児」は家事側に全乗せされがちです。でも、育児って「子ども2人の親」が2人でやるものではないのでしょうか?

本来、

家事は夫婦で分担すべきもの

育児は夫婦で一緒に担うもの

仕事も家庭のために重要だが、家の中のことから免除される理由にはならない

というのが、自然な考え方ではないでしょうか?

外で働いてお金を稼ぐことは、もちろん尊いことです。けれどそれを理由に、「実務としての家事育児は免除」という考え方は、パートナーへの依存であり、片務的な関係です。
しかもその上で「俺は家事育児してる」と言い張るなら、それは自己評価が甘すぎます。



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