「うるさい!静かにさせてくれ!」
近年、子どもの声を「騒音」と捉える声が世界中で見られるようになってきました。
公園や保育施設で遊ぶ子どもたちの声に対して、苦情や訴訟が起こるケースも少なくありません。
日本でも、集合住宅や新設保育園での騒音トラブルが報道されるたび、SNSで意見が分かれ、炎上することがあります。
このような話題が出るたびに、私はつい思います。
本当に子どもの声は、迷惑で取り締まるべき「騒音」なのでしょうか?
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■世界では「子どもの声を守る」動きが進んでいる
ドイツでは以前、子どもの遊ぶ声が騒音かどうかが裁判で争われたことがありました。
しかしその後、ドイツ連邦政府は「子どもの声は特別な保護に値する」と明言し、「子どもの声は社会的に許容されるべきもの」と法的に位置づけました。いわば、社会全体で「子どもが声を出していい空間を守ろう」という姿勢を打ち出したのです。
フランスでも、2024年に新たな条例で「子どもの声は生活音の一部であり、基本的人権に基づいて保護される」と明記されました。
また、ノルウェーやオランダなどの北欧諸国では、もともと「子ども中心の都市設計」が進んでおり、遊びやすい空間と時間帯の保証、保育施設の防音設備への助成などが制度として整っています。
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■日本では…?
日本でも一部の自治体では「子どもの声は騒音に当たらない」という判断が出たことがあります。
しかし現実には、保育所建設に反対運動が起きたり、公園でのボール遊びが禁止されたりするケースもあり、社会全体としてはまだ「許容」より「制限」が先に立つ傾向があるように感じます。
昔のアニメ『ドラえもん』では、のび太たちが空き地で草野球をしていても、近所の大人たちは見守ってくれていました。
それが現代では「騒音」「迷惑」としてすぐにクレームになる。確かに都市の密集化や在宅ワークの増加など、背景には合理的な理由もあります。でも、それだけでしょうか?
私は、現代社会では大人たちの「忍耐力」や「他者への寛容さ」が少しずつ失われてきているように感じます。
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■では、どうすればいいのでしょうか
子どもがのびのびと声を出せる環境は、健やかな成長にとって必要不可欠です。
でも、騒音に悩む人が本当にしんどい思いをしていることも事実です。
だからこそ、「我慢しろ」「黙れ」のどちらかではなく、仕組みや制度で調整する道が求められていると思います。
たとえば、
公園や施設の中に「声出しOKゾーン」をつくる
保育施設には公費で防音設備を支援する
住民と子育て家庭が定期的に話し合う「共助の場」を設ける
こうした取り組みが、すでにいくつかの国や自治体で始まっています。日本でも、制度と対話の力でこの問題に向き合っていくことが大切です。
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■子どもを「未来の他人」として切り捨てない社会に
子どもの声にイライラしてしまう日もあるかもしれません。
けれど、今声を出しているその子どもが、10年後、20年後に私たちの社会を支える存在になります。
それを「うるさいから排除する」のではなく、「支える価値のある存在」として包み込む社会でありたいと、私は思います。
子どもが子どもらしくいられる社会は、大人にとってもきっと優しい社会のはずです。
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【コラム】「子どもの声は騒音か?」──世界と日本を見渡して思うこと
