【コラム】子の看護休暇”たった5日?インフルエンザ1回で終わる現実に親は絶望

~2025年改正「子の看護等休暇」の限界と、制度改善への提案~

2025年4月、育児・介護休業法の改正により、「子の看護休暇」は「子の看護等休暇」へと名称が変更され、制度内容も一部拡充されました。

✅ 主な改正ポイント(2025年4月施行)

対象年齢の拡大:小学校就学前 → 小学校3年生修了まで

取得事由の追加:感染症による学級閉鎖、入園・入学式、卒園式など

除外規定の見直し:勤続6か月未満の労働者も取得可能に

名称変更:「子の看護休暇」 → 「子の看護等休暇」


(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」)

これらの改正により、制度の柔軟性は向上しましたが、取得可能日数や賃金の取り扱いに関しては変更がなく、現場のニーズに十分応えられていないのが現状です。

■うちの子が小学校に入った年、10月のある朝に発熱しました。診断はインフルエンザ。学校からは「発症後5日間、かつ解熱後2日間は出席停止」という指示。結局、完治までに7日間を看病で過ごしました。これで、「子の看護休暇」は1年分のほぼすべてを使い切りました。

でも問題はそれだけでは終わりません。うちには弟妹がいます。数日後には下の子が同じ症状で発熱。その後、末っ子も発症。弟妹がいれば連鎖感染は当たり前です。結果、看病の日々が2週間以上続きました。

これで終わり? いいえ、冬はまだ続きます。その後も胃腸炎や発熱、咳が止まらず登園NGなど、子どもの病気は日常茶飯事です。




■「子の看護休暇」はたった5日(※)

小学校就学前の子を養育する労働者は、年に5日(対象の子が2人以上いれば10日)の看護休暇を取得可能

2021年の育児・介護休業法改正で、時間単位での取得が可能になった

ただし、無給が原則。給与保証は企業次第


※出典:厚生労働省「子の看護休暇」制度解説




たった5日で、子どもの病気にどう対応しろというのでしょうか?
複数子どもがいる場合には、10日まで認められはしますが、兄弟で感染し合って簡単に10日を超えますし、感染症の場合、登園停止期間が法律で定められているのですから、親が看病しなければなりません。

しかも、これらの看護休暇は有給ではありません。有給休暇が尽きれば、欠勤となり、給与は減額され、職場に申し訳なさも積み重なっていきます。




■「じゃあ病児保育使えば?」という“冷たい正論”

「子どもが病気のときに休めないなら、病児保育を使えばいい」という意見もあります。確かに便利な選択肢ですし、制度としての整備も必要です。けれど、それで全てが解決するわけではありません。

子どもが高熱でぐったりしているとき、泣きながら「ママがいい」と言う姿に、「病児保育があるから大丈夫」とはとても思えません。
子どもには、しんどいときこそ親にそばにいてほしい気持ちがあります。

そして親だって、「つらいときに子どものそばにいてあげたい」と思うのはごく自然な感情です。

「制度的に使えるものがあるんだから、それで対応しろ」という発想は、子どもの気持ちも親の気持ちも、どちらも置き去りにしてしまっています。




■制度の限界を見直すとき

「共働きが当たり前の時代」と言われながら、子育てと仕事の両立を前提とした制度設計にはなっていません。

せめて、医師の診断がある感染症(インフルエンザ、ノロウイルス、RSなど)については、看護休暇を有給扱いにし、日数上限を撤廃するような制度変更が必要ではないでしょうか。

親の努力ではどうにもならない病気やウイルスの波を、「たった5日」で押しとどめるのは不可能です。
“子どもが病気のときに親がそばにいられる社会”は、子どもにとっても、未来にとっても必要なインフラです。




【参考資料】

厚生労働省「子の看護休暇」制度解説(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431.html)

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