一方で、外国人保育士の受け入れに対しては慎重な立場を取る声も根強くあります。私自身も、安易な制度変更にはリスクがあると感じています。
まず、現在の保育士不足の背景には、長時間労働や低賃金、過重な責任といった構造的な課題があります。厚生労働省のデータでは、保育士の平均月収は全産業平均を大きく下回っており、特に経験年数が少ない若手保育士の離職率が高いことが問題とされています。こうした状況を放置したまま、外国人を新たな労働力として受け入れることで、問題の本質を先送りにしてしまう恐れがあります。
また、言葉の壁や文化的な違いも、保育の現場においては無視できない要素です。保育は単なる子守りではなく、子どもの発達に応じた関わりや、保護者との細やかな連携が求められます。日本語での繊細なやりとりが必要な場面も多く、外国人保育士がすぐに適応できるとは限りません。
さらに、制度設計における責任の所在も問われるべきです。制度を決める側は現場の混乱や保護者の不安に直接向き合うことは少なく、結果的に保育の質が下がったとしても、その影響は現場にしわ寄せされがちです。外国人を受け入れることで、保育の現場がより過酷な状況に置かれるようであれば、本末転倒です。
外国人労働者自身にとっても、十分な支援や待遇がなければ、安価で都合の良い労働力として扱われるリスクがあります。こうした構造が温存される限り、真の多文化共生とは言えません。
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