【コラム】妊婦の健康を「自己責任」にしない社会へ 〜猛暑と胎盤早期剥離の研究から考える〜

先日、「猛暑日の翌日に、妊婦の常位胎盤早期剥離のリスクが高まる」という研究結果が発表されました(東京科学大学・リセマム掲載)。

このような知見を見るたびに感じるのは、「妊婦さん本人が気をつけましょう」で終わってはいけない、ということです。
妊婦さんにリスク回避を求めるだけでなく、社会や職場が妊婦を守る仕組みを持たなければ、本質的な対策にはなりません。

■「自分で言い出さなければ」何も始まらない構造

妊娠中のテレワーク、業務軽減、適宜の休憩や補食――。
これらの配慮は往々にして、「妊婦さん本人が申し出ること」が前提になっています。

でも本当はどうでしょうか。

「迷惑をかけたくない」「甘えていると思われたくない」と感じ、声を上げられないまま我慢してしまう人も少なくありません。

■だからこそ、制度と空気を変える必要がある

猛暑日の翌日は妊婦さんに出勤させない。
妊婦の外回り・出張は原則禁止。
「希望すれば」ではなく、「原則テレワーク」であるべきです。
同時に、周囲の人が「しんどかったら無理しないでね」と気軽に声をかける文化も必要です。

つまり、

「言われたから対応する」から
「言われなくても守る」社会へ

この転換が、妊婦さんと赤ちゃんの命を守ることにつながります。

■妊婦の健康は「自己責任」ではない

常位胎盤早期剥離は、母体と胎児の命に関わる重大な疾患です。
しかも、今回の研究では暑さという外部環境がリスク要因として挙げられています。

であれば、妊婦本人の自己管理に頼るのではなく、社会的な対応・制度づくりが不可欠です。
妊婦さんを支えることは、次の世代を支えることに他なりません。

参考文献・ニュース

妊婦の常位胎盤早期剥離、猛暑「翌日」リスク上昇…東京科学大(リセマム)
https://news.yahoo.co.jp/articles/12cadfbc1073a72fdc8352472c3b5023490bcc2f

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