【対立する視点シリーズ③】
日本の保育を守るには?外国人保育士受け入れ拡大の本質と向き合う

外国人保育士の受け入れには、「人手不足への即応策」としての魅力がありますが、同時に「保育の質」「制度の持続性」「現場への負担」といった複合的な課題を孕んでいます。

筆者としては、まずは日本国内の保育士の待遇改善や労働環境の見直しを優先すべきだと考えています。保育士が長く安心して働ける環境が整えば、自ずと人材の定着率も上がり、結果として保育の質も安定します。外国人受け入れを議論する前に、既存の問題に本気で向き合うべきではないでしょうか。

また、外国の保育制度には学ぶべき点も多くあります。たとえば北欧諸国では、園児1人あたりの保育士配置が手厚く設定されており、ユニセフの報告書『Childcare in Rich Countries』(2022年)では、こうした制度が子どもの発達や保育士の働きやすさに寄与しているとされています。

「外国人を入れるか否か」という二元論ではなく、「どのような社会を目指すか」という本質的な問いを立てることが大切です。子どもの健やかな成長を第一に考えるなら、労働力としての都合だけで制度を設計するのではなく、現場の声や子育て世代の視点を反映させた包括的な政策が必要です。

さらに、外国人保育士を受け入れるのであれば、その人たちが日本語や文化に適応できるような支援体制を十分に整えたうえで、待遇や労働条件にも明確なガイドラインを設けるべきです。多文化共生とは「誰でも来てください」ということではなく、「誰もが安心して働け、子どもたちが安心して育てられる環境を築くこと」に他なりません。

この議論を通じて、日本の保育制度そのものを見つめ直す機会にしていきたいと強く思います。

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