【対立する視点シリーズ③】 「女性の自立は誰の不幸か？」— “選ばれない男性”と恋愛市場の変化

女性の経済的自立が進むことで、「結婚しなくても生きていける」時代になりました。これは本来歓迎すべき社会の成熟です。しかし同時に、「女性に選ばれない」と感じる男性側の不満や孤独感も、無視できない現実として存在しています。

「女性が高望みしているから、普通の男性が結婚できない」「昔は経済力があれば結婚できたのに、今は違う」という声も、ネットやSNSでは多く見かけます。中には、「女性から経済力を取り上げれば、選り好みできなくなり、男性が選ばれる時代に戻る」といった極端な主張もあります。

これらの声の背景には、恋愛市場における「評価基準の変化」による戸惑いや不安があります。かつては「男性は稼いで養う、女性は支える」という前提のもとで恋愛や結婚が行われていました。しかし、女性が経済的に自立し、精神的にも対等な関係を望むようになった今、「何を持ってして魅力的な男性か」の基準も大きく揺れ動いています。

そしてその変化に適応できない・自信が持てない男性ほど、「自分は選ばれない存在だ」という感覚に苦しむことになります。それが時に、女性や社会全体への攻撃的な言動となって現れることもあります。

このような男性の生きづらさに対しては、非難ではなく、社会的支援や心理的ケアが求められます。ただし、それが「だから女性の権利を制限しよう」「経済力を奪って依存させよう」という方向へ向かうのは本末転倒です。

私たちが目指すべきは、どちらか一方が不利になることではなく、誰もが自立し、対等な関係を築ける社会です。恋愛も結婚も、「する・しない」「誰とする」すべてが選べる——そんな自由で尊重された関係性が、これからの社会には必要なのではないでしょうか。

参考文献：

若者の恋愛・結婚に関する調査（リクルートブライダル総研）

男女共同参画局「男性の生きづらさに関する調査」


#恋愛市場 #非モテ問題 #ジェンダーと孤立 #男性の生きづらさ #対等な関係