【対立する視点シリーズ②】 「女性は上昇婚を望むのか?」— 社会構造から見た“格差婚”の背景

「女性は結局、自分より稼ぐ男性を選びたがる」「上昇婚を望む限り、平等なんて成立しない」——このような意見も多く聞かれます。しかし、その背景には、そもそも社会に根強く残る“男女の構造的不平等”があるのではないでしょうか。

たとえば、数年前には医学部入試において、女性受験者だけを一律に減点していたという不正が社会問題になりました。これは、女性医師が結婚や出産で現場を離れることを前提とした極めて不当な処遇であり、女性がどれだけ努力しても正当に評価されない現実を突きつけました。

現在でも、妊娠や出産を理由にキャリアの継続が困難になる女性は少なくありません。産休・育休制度は整備されているものの、実際には昇進ルートから外れたり、職場で冷遇されたりといった「見えない不利益」を受けることもあります。一方で、男性が同じように子育てを理由にキャリアを犠牲にするケースはまだ少数です。パタニティ・ハラスメント(パタハラ)という言葉が生まれるほど、男性の育児参加もまた困難を伴っています。

このように、同じ能力を持ちながらも、女性には正当な評価や対価が与えられていない場面が多々あります。その結果、本来であれば自分が得ていたかもしれない収入や安定性を、パートナーに求める傾向が出てきます。これが、「上昇婚を望んでいるように見える」原因のひとつです。

「選り好み」ではなく、「損失の補填」——この視点で見ると、女性が“現実的に安定した生活を築くための選択”として、より高収入の男性を選びたくなることはごく自然な帰結であるといえます。

したがって、結論として求められるのは、男女不平等への逆戻りではなく、真の意味での男女平等の実現です。女性が自立してもなお、安心して結婚や出産が選べる社会こそが、持続可能な未来につながります。

参考文献:

文部科学省「医学部入試における不適切な対応に関する調査」

厚生労働省「働く女性の実情と課題」


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