【コラム】多目的トイレでのおむつ替えトラブル——子連れ家庭が抱える現実と周囲の理解の重要性

多目的トイレでおむつ替えをしている際に、扉を叩かれ「もう十分に時間がかかっている。こっちも待っているのだから早くしてほしい」といった暴言を受けたという話を見聞きしたことはありませんか?子どもが泣いて暴れ、親は一人で必死にあやしながらおむつ替えをしているため、どうしても時間がかかってしまうのです。このような場合に親御さんを責めるのは、子育ての現実を理解していないと言わざるをえません。

■なぜおむつ替えに時間がかかるのか

赤ちゃんや幼児はおむつ替えの際、寝転がった状態で全身の力を使って暴れます。立ったまま作業をする親御さんは、すでに両足を使って体を支えています。さらに両手のうち一方はお尻ふきの作業に使い、残った一方の手で子どもを押さえるしかありません。つまり、子どもが四肢を動かして抵抗するのに対し、親の手は圧倒的に数が足りず、力の面でも劣勢なのです。

また、子どもの力は時に大人の力を上回り、無理やり押さえつけることは怪我や心の傷につながるため避けるべきです。そのため、おむつ替えは安全にかつ子どもの心身を守りながら行う必要があり、どうしても時間がかかります。

■周囲の理解と子連れ家庭の立場

「早くしろ」という言葉は、多くの場合、子育て中の親御さんの実情を理解していない人から発せられます。こうした声は、子連れ家庭にとって大きなストレスであり、精神的な負担も重くなります。

子育てをしていると、思わぬトラブルや予期せぬ時間のかかる作業が常にあります。子どもを連れての外出は、一人で行うと特に負担が大きいものです。そんな中で周囲が思いやりを持って見守ってくれることは、親にとって大きな救いとなります。

しかし現実には、子連れに対して高圧的な態度を取る人も少なくありません。これらの人たちのうち一部は「無敵の人」とも言われ、社会的な守るべきものがなく自己中心的な言動に走りがちです。子どもや親がそうした態度に遭遇した際に受ける影響は大きく、むやみに反発することもできず、子どもの安全や心の安定を最優先に考える親は言い返せないことが多いのです。

■子連れであることの弱さと社会の役割

子連れはどうしても弱い立場に置かれがちです。特に子どもは大人のように自分を守ることができず、親もその責任を負っています。だからこそ社会全体が子育て環境を整え、子連れが安心してトイレや公共施設を使えるようにすることが求められています。

多目的トイレの設置は子連れや身体の不自由な方にとって欠かせませんが、周囲の理解や配慮がないとトラブルが生じます。多目的トイレの利用時間に寛容であること、子育て家庭に対して温かい目を向けることは社会全体の成熟の証でもあります。




■まとめ

おむつ替えは子どもの暴れや親の手数不足など、物理的に時間がかかることが多い。

急かす言葉や暴言は親子にとって大きな負担となり、不適切。

子連れ家庭は社会的に弱い立場であり、高圧的な態度にさらされやすい。

社会全体が思いやりを持ち、子育てしやすい環境づくりを進めるべきである。





参考文献

厚生労働省「子育て支援の現状と課題」2023年版
https://www.mhlw.go.jp/content/000965432.pdf

こども家庭庁「子育て環境の充実に向けた提言」2024年
https://www.caa.go.jp/kodomo/kosodate_environment_report/

日本小児科学会「乳幼児の発達と育児支援」2022年
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=45

「子どもと公共トイレの利用環境」日本福祉教育・ボランティア学習学会誌 2021年 Vol.26 No.1





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