【コラム】女性上司がいても女性が働きやすくならないのはなぜ? 名誉男性化が生む“期待と絶望”のギャップとは|共働き・妊娠・両立のリアル

「上司が女性だから、きっと分かってくれるだろう」
そう思っていたのに、現実にはまったく理解が得られなかった――。

女性管理職の登用が少しずつ進む中で、実際に働く現場では「女性上司がいるのに全然働きやすくならない」「むしろプレッシャーが増した」という声も少なくありません。

なぜ、女性上司の存在が、女性部下の働きやすさに直結しないのでしょうか?




■ 名誉男性化とは? なぜ女性が“男性的に”振る舞うのか

“名誉男性”とは、男性社会の中で出世するために、女性的な視点を封じ、男性と同じように振る舞うことで評価を得てきた女性を指します。

背景には、「育児や家庭の話を持ち出すと出世できない」「感情的と思われてしまう」という恐れがあり、
結果的に“男性の価値観に適応し、強く見せる”ことが生存戦略になってしまっているのです。

でも、その価値観のまま管理職になってしまえば、本来職場に必要だった“多様な視点”は持ち込まれず、再び同じ構造が繰り返されてしまいます。




■ 経験者なのに、理解されない絶望感

私自身、共働きをしながら働く中で、面談のたびに女性上司から「もっと頑張ってほしい」とプレッシャーをかけられ続けてきました。

「上司も仕事と家庭との両立の大変さを分かってるはずなのに、どうして分かってくれないの?」
「これ以上仕事に労力を割けないって、なぜ伝わらないの?」
そんな気持ちになったことが何度もあります。

妊娠初期には、職場の隣で建て替え工事が始まり、塗料の匂いがきつくて体調に悪影響が出かねない状態に。
不安を抱えながら「せめてテレワークを」と希望しましたが、上司からの返答は「それくらいで?」というような否定的なもので、許可は下りませんでした。

妊娠中で子どもを守らなければという一心で、やむを得ず診断書を取り休むことに。
「子どもを持つ女性上司なら、妊娠中のつらさを分かってくれる」と信じていた分、その落差は大きく、深く傷つきました。




■ 構造の問題を「努力が足りない」とすり替えないで

「私のときはもっと大変だった」
「子育てしてても頑張れたよ」
そんな言葉は、表面上は“励まし”でも、内側では「自分も我慢したんだから、あなたも我慢して当然」という無言のプレッシャーに変わります。

これでは、組織の中に新しい価値観や柔軟な働き方をもたらすはずの「女性上司」の存在が、逆に働きづらさを再生産してしまうことに。




■ 求められるのは「同化」ではなく「共感と変化」

女性上司の価値は、男性と同じように厳しく振る舞えることではありません。
それよりも、ケアの視点・共感力・柔軟性を職場に持ち込むことで、「誰もが働きやすい環境」をつくれる存在であってほしいのです。

上司が女性であるかどうかではなく、“その人がどんな視点を持ち、どんな文化を育てようとしているか”が問われる時代に来ているのではないでしょうか。




まとめ

女性上司がいても、女性部下が働きやすくなるとは限らない――。
期待が裏切られるとき、人は「分かってくれるはずだったのに」という思いから、より深く傷つきます。

私たちが求めているのは、ただの“女性管理職の数”ではなく、
構造にメスを入れ、共感と柔軟さをもたらす存在としてのリーダー像なのです。




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